●書籍紹介●
エンデの遺言 ―根源からお金を問うこと
「モモ」「果てしない物語」などの作者であるミヒャエル・エンデ。
「お金」という、誰もが身近で当たり前に使っている存在に、疑問を呈す。
本来は「道具」にすぎないはずのお金が、いまでは存在を変えている。
お金が主人であり、わたしたちはその「奴隷」になってしまっている。
働いてもいっこうに豊かさを得られない人々がいる一方で、何もせずとも資産を持て余す人もいる。
お金の何がそんなに問題なのだろうか?
「価値を交換する」
「価値の尺度を図る」
これらの機能についてはまったく問題ない。
人々の生活を、円滑に、便利にする「道具」としての機能だ。
問題は
「価値が保存される(むしろ、時間と共に増える)」
ということだ。
お金の対価として実際に扱われる「モノ」は、本来すべて有限だ。
地球上に存在する限られた資源だから、いつかは腐り、循環する。
それが自然の摂理だ。
それに対し、「モノ」と同等であるはずのお金の価値は、決して減らない。
むしろ、利子によって増えていく。
このギャップこそが、お金によって生まれる様々な不幸の原因だと、エンデは考える。
というのも、増え続けるお金の価値に見合う「モノ」はやがて無くなる。
その結果として、資源の枯渇や砂漠化など自然環境の悪化や、地球レベルでの貧富の差の拡大など、社会に歪みが生まれている。