脳の反射
当院の施術は、「筋肉の不自然な緊張を弛める」という目的で行ないます。
筋肉を弛めると言っても、押したり揉みほぐしたり、バキボキと矯正したり、、、
というようなことは一切しません。
軽く触れたり、優しく揺らしたり、少し引っ張ったり、、、
という施術内容です。
極めて優しく、無痛な施術です。
「何をされているか分からない」というのが、初めて体験された方のほとんどの感想です。
なぜ、そのような方法で改善するのか。
たいへん不思議がられます。
これはひとことで言うと、脳の反射という機能を利用しています。
このページにて、詳しく解説していきます。
脳は身体の司令塔
ご存知かもしれませんが、筋肉を含めた全身の状態をコントロールしているのは、実は「脳」です。
「脳」が全身へ指示や命令を出し、筋肉などの全身の各器官はその通りに動きます。
よって、筋肉の緊張を弛めようとする際は、根本である「脳の指令」から解除することが大切です。
これまで「緊張せよ」と指令を送っていた脳に、その指令をやめてもらうということです。
(※どのように脳から全身へ命令が伝わっているのか、ということに関しては、このページの一番最後に、コラムとして詳しくまとめております。)
このとき、脳の働きを無視していくら筋肉だけをほぐそうとしても、それはほとんどの場合、結果を変えているだけにすぎません。
原因である脳からの指令が変わらない以上は、延々と再発してしまい、解決とはならないのです。
当院で押す・揉むということをしないのは、このためです。
強い刺激の弊害
例えばあなたは、押したり揉んだりするマッサージを体験されたことはありますか?
きっと、一度くらいはあるかと思います。
家族内で、「肩が凝ったからちょっと揉んでくれ~」なんて場面もありますよね。
揉みほぐすことによって、たしかに一時的にラクに感じるかと思います。
痛い刺激がどこか気持ち良く、「あ~スッキリするーーー」と感じますよね。
(余談ですが、私もおもいっきり経験があります(^^;
毎日のように揉んでもらっていた時期がありました。)
このときラクに感じるのは、緊張している筋肉細胞が強引に破壊されるからです。
しかし、その後もそのラクな状態は続くでしょうか?
・・・・ほとんどの場合、時間が経つと元の辛い状態へ戻ってしまいますよね。
これは、単に緊張した筋肉が破壊されただけであって、脳からの指令が解除されたわけではないからです。
時間が経てば、脳からの命令により、再び同様の状態の筋肉が再生されます。
それどころか、余計に悪化することも多いです。
というのも「脳」は、外からやってくる強い刺激に対して、基本的に攻撃とみなします。
実際に、細胞を破壊されているわけですからね。
よって、防衛反応により、以前よりもより強い緊張を作ろうとします。
「前は破壊されてしまったから、次はあの圧力にも負けないようなもっと強い緊張で守らなければ・・・」
と、こんなイメージです。
これを繰り返していくと、、、
緊張が根本的に解決されないだけでなく、当初よりも頑固なコリや緊張が生まれてしまいます。
(私も経験者です。)
~筋トレの例~
上記のことは、筋トレと同じ仕組みです。
筋力トレーニングでは、筋肉にわざと負荷をかけますよね。
負荷を与えることにより、筋肉細胞を一度破壊します。
すると身体は、同じ細胞を再生する際に、前回よりもより強い状態で再生します。
この繰り返しによって、強靭な筋肉が出来上がっていきます。
筋トレは基本的に表層筋(※)に対して行ないますが、心身の体調に関係する深層筋(※)でも、同様なのです。
※表層筋:身体の表面の筋肉。外から見える部分。
※深層筋:身体の奥の方の筋肉。骨や内臓の周りにある。
以上のように、強い刺激は、たしかに頭では「イタ気持ち良い」と感じるかもしれませんが、脳からすると攻撃を受けている状態なのです。
脳は優しい刺激で安心する
一方で、脳は優しい刺激に対しては、不必要な緊張を解くという習性を持っています。
「脳が安心する」とイメージすると、分かりやすいかと思います。
優しく心地よいリズムで揺らしたり、ほわんっと軽く触れたりしていると、脳は安心し、それまで防御の為に固めていた緊張命令を解除します。
脳からすると、、、
「あれ?いま安心してもいいんだ。」
「それなら緊張しなくても良いな。」
というイメージでしょうか。
結果として、緊張命令が解除された筋肉は、自然な状態に弛みます。
緩むべきときに必要なだけ緩み、緊張すべきときには必要なだけ緊張する。
そんな本来の働きができるようになります。
なぜ脳は優しい刺激に安心するのか
では、なぜ優しい圧に対して脳は安心するのでしょうか。
これについては、実は科学的な証明がされているワケではありません。
「α-γ理論」とか、色々と仮説や理論はありますが、証明されてはいません。
少なくとも私の知る限りでは。
よって、「経験則としてどうやらそのようだ」というのが実際のところです。
ひょっとすると、
「科学で証明されていないなら、効果も曖昧なんじゃないかな。」
「信用できないなぁ。」
と思われるかもしれません。
しかし、人体においてはむしろ、証明されていないことの方がほとんどです。
一説によると、実は現代の科学では、人体の99%はまだまだ謎だそうです。
このような療法の効果に関しては、何千万という症例が物語っています。
自然形体療法の創始者である故 山田洋先生や、私の師である無痛自然療法の西田聡先生、そのさらに師匠である故 村松幸彦先生など多くの先人が、この効果を自らの経験で実証し、伝達されてきました。
私自身も、(上記の大先生方に比べればまだまだ未熟な経験ですが、)現場での日々の施術にて、このような脳と筋肉の関係を確信しています。
最後に、ちょっとイメージしてみてください。
赤ちゃんや動物は、肌を叩かれたり強く押されたりしたら、どう感じるでしょうか?
きっと、赤ちゃんであれば泣き出します。
動物も、喜びはしないでしょうね。
では反対に、優しく「よしよし」と撫でたり、一定のリズムで優しく揺らしたりしたときは、どうでしょうか?
赤ちゃんは、安心して眠るかもしれません。
それまで泣いていたのが泣き止むかもしれません。
動物も、ゴロニャンと落ち着いた表情を見せるかもしれません。
私たちのような理性を持たない存在である、赤ちゃんや動物がそうなのです。
ということは、生き物の本能として、優しい刺激に対して安心するという習性があるのです。
コラム「身体が無意識に反応する仕組み」
冒頭で説明した通り、全身の状態をコントロールしているのは「脳」です。
脳が全身へ指示や命令を出し、筋肉などの全身の各器官はその通りに動きます。
「それって、いまいちよく分からない。いったいどういうこと?」
「無意識な働きっていうけど、脳って意識するところじゃないの?」
そんな疑問にお答えするべく、より詳しく解説します。
「大脳」と「小脳」の働きを簡単に説明
まず、「脳」とひと言でいっても、実際にはいくつかの部分に分かれています。
ここでは特に、「大脳」と「小脳」という部分の役割が重要です。
ごく簡単に言うと、、、
「大脳」は、意識するところです。
「小脳」は、大脳の意思を受けて、その通りに全身へ命令を出す役割です。
どういうことかと言うと、、、
例えば、あなたの目の前にペンが置いてあり、あなたはそのペンを掴もうとするとします。
このとき、「掴もう」と「思う」のは大脳です。
思うだけです。
その大脳の意思を達成させるべく、実際に腕や手の筋肉へ電気信号を送り、その通りに動かしているのが「小脳」です。
わたしたちの普段の行動は、この大脳と小脳がセットとなって行われています。
だから「しよう」と思う行動が実際にできるのです。
「小脳」だけで反射的に動くとき
しかし、実は「小脳」だけでカラダが動くことも多々あります。
小脳だけということは、無意識的に、反射的に身体が動くということです。
そのひとつとして、、、
何らかの行動を何度も繰り返し、身体が慣れてきて、クセとして身についたときがそうです。
例えばあなたが野球のバッティングを習い始めたとしましょう。
最初からいきなり、経験者のようにブンブンとキレのあるスイングはできませんよね。
バットの握り方ひとつとっても、はじめのうちは「えっと、こうやって持つんだったな。。。」と、1回1回目で見たり、握る感触を確認しながら行なうはずです。
でもそのうち慣れてきて、バットを持った瞬間に、自然に正しい握り方ができるようになるはずです。
いちいち目で見なくても、意識して確認しなくても。
これは、いちいち「大脳」を通さずに、「小脳」だけで無意識的・反射的に行動しているからです。
このように、人間のカラダは、何度も経験したものはカラダが学習して、「小脳」だけでサッと反応するようになるのです。
良くも悪くも。
心身の不調にも関係があります
さて、このホームページの至るところで説明している、「筋肉の緊張」についても同様です。
自律神経の乱れや様々な慢性症状でお悩みの方は、ほとんどの場合、筋肉が不自然な緊張をしてしまっています。
多くの場合、自分の意思とは関係なく無意識のうちに、必要以上に緊張してしまっています。
自分では緩めているつもりでも、実は全然緊張が抜けていないという状態です。
例えば、眠っている最中ですら、特定の筋肉が緊張し続けていて、寝ているのにカラダ自体は全然休めていない。
休めていないから疲れもとれていない。常にダルイ。。。
などということに繋がります。
では、なぜこのようなことが起こるのかというと、、、
日々の生活のなかで特定の筋肉が緊張する経験を何度も繰り返した結果、身体が学習してしまい、クセとして身についてしまっているのです。
(※これについて詳しくは、「自律神経失調症」のページをご参照ください。)
つまり、無意識のうちに、「小脳」が緊張という命令を延々と送り続けています。
こうなると、その緊張を解くのはなかなか一筋縄ではいきません。
なにせ、クセがついてしまっているものをニュートラルな状態へ戻すワケですから。
仮にプロ野球選手が、「敢えてまったくの素人と同じようなプレーをしよう」としてみても、逆に難しいですよね。。。
ボールやバットの持ち方、走り方、ベースの踏み方、グローブの使い方、、、
無意識のうちに、ついつい経験通りのことを身体がしてしまうのではないでしょうか。
これはあくまでイメージですが、同様のことが、筋肉の偏った緊張という状態にも言えるのです。
誤った習慣を改め、正しい習慣を積み重ねていけば、いつかそちらが新たなクセとなって身に付きます。
その際に、当院のような「脳の指令から調整していく施術」によって、より早く、正確に、本来のニュートラルな筋肉状態へ戻すことができます。
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