田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」 / 渡邊格

田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」 / 渡邊格

「利潤をださない」という経営理念をもつ、小さなパン屋の物語。

この本を読めばきっと、「お金があるほど幸せ」とは思わなくなるだろう。

お金の為に身を粉にして働くことにも、違和感を覚えるようになると思う。

以下に、私の所感を含め、この本の概要を記してみる。


所感と概要

お金は、「道具」としては大切なものだ。
しかし、それを「目的」とすると、歯車が狂いだす。



現在の資本主義社会が、まさにその通りだ。

「利潤」を求めることには限界がなく、常に「もっと、更に」と高みを求められる。

その結果、人間は限られた体力・時間・生活を費やして労働に向かい、どんどんと疲弊していく。

なかには、良心の呵責に陥るような場面にも遭遇するだろう。
いや、その呵責すらも感じずに、あくどいことも平気で行われている現状ではないだろうか。

すべては、何よりも「利潤」を求めるが故に。。。

当時サラリーマンであった著者は、そのような現代社会の実態を痛感し、

「小さくてもほんとうのことがしたい。自分が正しいと思えることをして、それを生活の糧にして生きていきたい」

と思い立つ。



脱サラし、1からパン職人の修行をはじめる。
その後、周りから「不思議なパン屋」と評されるお店を営むことになる。



なにが不思議かというと、、、

  • 所在地は、岡山駅から電車で2時間以上かかる山のなか。
  • 看板メニューは「和食パン」。
  • パンの値段は、350円という高価格。
  • 古民家に棲みつく天然の菌でつくる酒種を使って発酵させる。
  • 週に3日は休み。
  • 毎年1ヶ月の長期休暇をとる。
  • そして、経営理念は利潤を「出さない」こと。

などだ。



筆者はこのパン屋経営のなかで、現代の資本主義の仕組みに対抗する。

カール・マルクスの資本論や、ミヒャエル・エンデの思想、そして自身のパン屋としての実体験をもとに、現代の資本主義のおかしな点に目を向ける。

それは、おカネは「腐らない」ということだ。



自然界のあらゆるものは、時間と共に変化し、やがて土へと還る。
つまり、「腐る」。

しかし、おカネは違う。

自然の摂理に反し、腐らないどころか、むしろ利子や信用創造によってどんどんと増えていく。

腐らないが故に、「利潤」はどこまでも求め続けることが可能だ。

これは、よく考えるとおかしくないだろうか?



地球上に存在する有限である「モノ」に対し、腐ることなく無限に膨れ上がる「おカネ」。

その両者を等価として交換している。

どこかでそのギャップのしわ寄せがこないはずがない。



実際に、その反動で多くの犠牲を産み出している。

環境破壊、公害、農薬や添加物、原発など、人間が制御しきれない事態に陥っている。

また、過労やストレスにより心身の不調に悩む人が増加している現状も、その犠牲と言えるだろう。

人々が「利潤」を求め続ける限り、これらの勢いは今後もどんどんと加速していくだろう。



そこで筆者は、「腐らない」という経済の不自然な性質に立ち向かい、「腐る経済」を実践する。

「腐る経済」とは、、、

『必要なおカネを必要なところに必要なだけ正しく使う。』

『「商品」を、適正価格で「正しく高く」売る。』

『経営者が労働者に対して、不当に搾取することがない。』

、、、という経済だ。



利潤を求めないといっても、もちろん、パン屋の持続や生活の為の損益分岐点は維持する。
しかし、必要以上は求めない。

そんな状況に、不安を感じる人も多いだろう。

しかし、それを実際に実践している、この著者とその家族を見てほしい。

間違いなく、幸せな毎日を生きている。

私は実際にお会いしたことはないが、文面や写真から、そう感じずにはいられない。



日本の高度経済成長期は、とうに終わった。

有限な「モノ」と、無限な「おカネ」というギャップがある以上、経済を永遠に成長させ続けることは、不可能だ。

僕ら現代人はそろそろ、

「何の為に働くのか」

「何のために自分の大切な時間を使うのか」

ということについて、その「本質」に、もっと目を向ける時期にきているのではないだろうか。。。

こんな方に、読んでほしい!

[check]働きすぎで体調崩しそう。(崩した。)
[check]何のために働いているのか分からない。
[check]自然の摂理に従って、元気でやすらかな生き方がしたい。
[check]お金の仕組みに疑問を感じる。

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村地友寛

村地友寛

自律神経専門「無痛整体ながれ堂」代表。元証券会社営業マン。会社員時代に自律神経失調症となり、心療内科で精神薬を3種類処方されながら休職していたが、一向に回復せず。その後、整体と生活改善によって無事に根本的に解決した経験を持つ。その後、自分自身も脱サラして整体師へと転身。現在は、「自律神経の不調は自然治癒で回復することが、社会常識になる」という夢に向けて活動中。整体院だけでなく、後進の育成や、プロ治療家向けの勉強会なども開催している。

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