食品の裏側(みんな大好き食品添加物) / 阿部司
かつて、食品添加物を扱う商社で働いていた、著者の阿部さん。
業界ではトップ営業マンで、素晴らしい業績を上げていた。
彼の働きによって、なんと自社ビルが一件立つほどだったという。
- 添加物を使えば、製造業者は簡単に、安く商品を作ることができる。
- 販売店も、お値打ち価格で売ることができる。
- 消費者も、安く買えるうえに、料理を素早く簡単に作って食べることができる。
そんな便利な添加物を使って、世の中に商品を流通させまくっていた。
しかし、そんな阿部さんに転機が訪れる。
ある日、お子さんの誕生日に帰宅すると、食卓には豪華な料理が並べられていた。
嬉しそうに「ミートボール」を食べようとするお子さん。
見覚えのある「ミートボール」を目にした阿部さんは、慌てて咄嗟にお子さんの手からミートボールを取りあげる。
「食べるんじゃない!」
それは、阿部さん自身が開発して大ヒット商品となったミートボールだった。
その性質や製造過程を全て知っている阿部さんは、咄嗟の判断で、「大切な人に食べさせてはいけない」と感じた。
これまで便利さや売上の為に開発しまくってきたが、このときほど、添加物の「健康面」を深く考えたことはなかったという。
眠れぬ夜を過ごした翌日、辞表を出して退社。
現在は、講演や出版などで添加物についての情報普及をされている。
本の中で、阿部さんは次のようなことを言う。
「添加物は悪いものだと、決めつけるわけではない。
なぜなら、わたしたちはそのメリットもしっかりと享受している。
しかし、デメリットの部分の情報公開がされていないことはおかしい。
メリットとデメリット、その両方を知る権利があるはずだ。
だからこの本で、これまで表に現れなかった、業界の裏側を告発する。
そのうえでどちらをとるかは、皆さん次第だ。
そこに正解も不正解もない。」